2009年7月29日水曜日

第14週 モックアップ

今週はモックアップに関する授業です。
本学出身のプロのデザイナー、角南建夫さんを講師として招き、工程ごとのポイントを解説していただきました。
スケッチやレンダリングイメージだけでは表現できないものを伝えるために、モックアップの完成度はとても重要です。
自分でデザインを確認するため、簡易評価を行うためにもモックアップは用いられます。

角南さんのスライドでは簡単そうに見えたかも知れませんが、実際に自分で作ってみると難しさがわかるはずです。
作るものによって素材や工程を考えながら、可能な限り本物のイメージに近づけます。
こだわりだすとけっこうお金がかかったりします。ユザ○ヤに通いつめましょう。
いずれは(皆さんの卒業研究など)機構が再現されていたり、画面やセンサーなどの電子デバイスが組み込まれているなどの、実動するモック、プロトタイプを作成できるといいと思います。





山崎先生から最終発表へ向けた説明のあとはグループごとの作業です。




いよいよ来週は最終発表です

(TA深井)

2009年7月22日水曜日

第13週 ポートフォリオ


前半は吉橋先生によるポートフォリオに関する講義です。

この授業はグループごとの成果物と個人で提出するポートフォリオによって評定がつきます。
冬からの就職活動へ向けたポートフォリオの制作にも役立つと思います。






山崎研究室の青木君・木村君・五代君(修士1年)、小谷津さん、奥村さん(4年生)に協力してもらいました。ありがとうございました。

約10分×4セッション、上記の5名に吉橋先生とTAの僕を加えた7名が各自のポートフォリオをもって受講者の机をまわり、ポートフォリオのまとめ方のポイントを教えます。吉橋先生には多摩美の経験デザインのポートフォリオを持ってきて頂きました。

ポートフォリオ作成の○(マル)と×(バツ)吉橋先生の旧ブログより



僕が主に伝えたポイントについては書き出しておきます

■印刷する紙やプリンターには最低限こだわる
コンピューター室のレーザープリンターでペラペラの紙に刷る人がいますがもってのほかです。

■意味もなくフォントや色を乱用しない
■メインビジュアルがカッコわるいと全体がカッコわるく見える
■メインビジュアルや要点を端的に見せるページとプロセスなどをしっかり見せるページを区別する
■レイアウトやカラーマネジメントの本で勉強する
貸し出しはできませんが山崎研にあるものは見てもらって構いません。

■雑誌やカタログなど見て、プロの仕事を見る、マネする
マネしたくてもなかなかうまくいかないと思います。
本物の製品をプロのカメラマンがスタジオで撮影しているし、ちょっとしたインフォグラフを再現するだけでも時間とテクニックが必要です。
でも要素のまとめ方、見せ方などは勉強になります。
ともかく、津田沼にはヤ○ダ電気があるのでいっぱいもらってきましょう。





ポイントを教わったあとに、自分がどのようなポートフォリオをつくるかをイメージし、A3の紙に書いてみます。最終発表のあとで作品をポートフォリオにまとめる作業の時に参考にしてください。

他研究室の先輩をはじめ、いろいろな人のポートフォリオを見るようにして下さい。山崎研のポートフォリオばかりではダメです。







後半は進捗の確認と発表に向けての作業です。
いよいよ時間がなくなってきました。どれだけ時間をつぎ込めるかが勝負です。

(TA深井)

2009年7月15日水曜日

第12週 インターフェイス、スマイルデザイン


前半は山崎先生の講義です。

iphoneを題材に魅力的なインターフェイスについて
優れたインターフェイスを提案するために3つの側面について考える
■身体インターフェイス
端末の持ちやすさ、サイド・ホームボタンの押しやすさ、タッチインターフェイスなど、人間の身体や物理的要素から考えるインターフェイス、人間工学的側面
■認知インターフェイス
アイコンやメニュー構成のわかりやすさ、画面内にある切り替えスイッチやつまみ、ドラムなど「人の想像するイメージ」や「物事をどのように認識しているか」ということから考えるインターフェイス、認知科学、認知工学的側面
■感性インターフェイス
cover flowのアニメーション、フリックやピンチのようなタッチコントロールなど、ユーザーが使っていて楽しくなるインターフェイス

続いてスマイルデザインについて
スマイルデザインを考えるための3つのアプローチ
■センス的アプローチ
学生の時こそ、良いデザインや美術品を見てセンスやアート的な感覚を養わないとダメ、せっかく東京近郊に住んでいるのだからデザイン展やギャラリーなどに行かないともったいない
■分析的アプローチ
何十年も前の作品なのに新しい感覚をもたらしてくれるデザインや美しさを失わない美術品は多くある、過去の作品を分析してデザイン言語やそのロジックを解明する
■論理的アプローチ
人の感性や情動を構造化する

「ユーザーを笑顔にするデザイン」手法の体系化を目指している山崎先生の試み自体がとても珍しいことだそうです。





授業の後半は先生を交えて進捗の確認です。
最終発表も含め、残すところあと3週、最終成果物として何をどのように見せるのかを見据えて作業を進める必要があります。

(TA深井)

2009年7月8日水曜日

第11週 多摩美の参考事例

今週は山崎先生がお休みということで、吉橋先生に多摩美情報デザイン学科の生徒の方が卒業制作として取り組んだユーザー中心設計の事例を紹介していただきました。
内容を載せることはできませんが、取り組みの大筋はこの授業と同じです。
デザイン検討の前にフィールドワークなどのユーザー調査を実施し複数のペルソナを作成、
画面インターフェイスのアウトプットへと展開していくものでした。
ペルソナに合わせた画面構成、ユーザビリティを考慮したフローなど、
さすがの完成度で参考になることが多かったと思います。




授業の後半はグループごとに進捗の確認です。
前回のコンセプト発表で得た意見を参考に検討していきます。
いくつかのグループに見られたのが、
「先生に言われたから直した、評価シートに書いてあったから変えた」
ということです。
意見や指摘はもちろん参考にすべきですが、先生や評価シートが正しい保証はないですし、グループの方向性として良いと思ったことは押し進めるべきだと思います。
プレゼン対象の顔色を気にするのも大事かもしれませんが、ペルソナにとっての価値を考えるようにしましょう。
つまり、
「ペルソナとってこの提案は本当に楽しいか、うれしいか、お金を払ってまでやりたいと思うか」です。
さらに授業以外でもペルソナに似た性質を持つ人に提案を説明して評価してもらいましょう。



(TA深井)

2009年7月1日水曜日

第10週 コンセプト発表

今週は3回ある発表の2回目、コンセプト発表でした。
前回の中間発表と同様にKDEの小林さんを交えて途中経過を発表し、評価シートを通して意見を集めることができます。

発表内容は以下(時間は4分)
・テーマ
ユーザー調査概要
インタビュー項目と結果
ユーザー調査のまとめ
ペルソナ
エクスペリエンスシナリオ
想定シナリオ
方向性のまとめ
(前回の中間発表の内容を簡潔に)
・5つの提供価値
スケッチ
ペーパープロトタイプ
ラフモック、ラフレンダリング
・代表的なシナリオ
アクティングアウト



前回同様、現段階における各グループのテーマを記しておきます。

課題A 学生にうれしい新しいエンタテーメントの情報デザインの提案
A1 机周りでの楽しみ(デスクワークで溜まったストレスを解消)
A2 忙しい学生が室内で癒しの時間を楽しむ
A3 合コン初心者の人、やったことのない人が楽しくなれるツール
A4 学生が大学周辺で楽しくなれる情報デザイン
A5 買い物する学生
A6 小学校低学年がいきものと触れ合うためのデザイン
A7 小学生の自由時間を楽しくするもの
A8 大学生が大学内で交流を広める
A9 生活力のない一人暮らし学生のためのツール
A10 学生がどこでも音楽を楽しめるエンターテイメント


A5グループは画面上のマネキンに試着させながら友人と相談したり、コーディネートを考えたりできるネットショップの提案でした。ユーザーが設定するマネキンを中心にサービスを展開することで、届いてみたらサイズが合わないなどの問題を解決しています。完成度が高く、画面がしっかり作り込まれていました。



課題B スポーツ施設でうれしい情報デザインの提案
B1 犬好きの人がコナミスポーツで一緒にトレーニングを楽しむ
B2 フットサル競技者に嬉しいデザイン
B3 ペットと共に汗を流すスポーツ施設
B4 トレーナーをつけない人がジムで正しいトレーニングを行うためのツール
B5 初心者女性が続けやすいジムツール


B1グループはハードやWebなど総合的に考えられていて、それぞれがしっかり作り込まれていました。B3グループとほぼテーマが同じなので互いに評価しながらそれぞれの特徴を出していけるといいと思います。



先生方の講評を含め、気付いたことをまとめておきます。
・見た目のかたちと機能の結びつきが重要
・アクティングアウトについて、要点や魅力がより伝わるシナリオを考える
・システムやサービスのデザインなのか、コンテンツのデザインなのかを明確に
・プレゼンはまだ練習不足のグループが多い、決められた時間を守るように

・先生方に発表内容が正確に伝わってないグループがいくつかありました。限られた時間内に正確に要点を伝えるために、プレゼンの練習を繰り返して、他のグループに見てもらうなどして下さい。
・コンセプトの段階では面白そうだったのに、実際にかたちに起こしていく段階でつまらないものになってしまったり、コンセプトからずれてしまうことはよくあると思います。
実現性(リアリティ)とコンセプトを高い次元で両立させながらユーザーにとっての魅力を考えていく必要があります。

・プレゼン能力は僕自身を含め、これから社会に出て行く人にとって必須になる能力の一つです。
その中でもデザイナーはプレゼンのプロフェッショナルであるべきだと思います。
提案やプロジェクトを生かすも殺すもプレゼンに次第です。
(もちろん内容が伴うことが前提ですが)「口がうまい」「見せ方がうまい」ことは立派な武器です。
数をこなすしか上達する方法はないのに、恥ずかしがって譲り合っているのはもったいないと思います。
プレゼン資料も時間をかけて作り込んで下さい。
パワーポイントのテンプレートを使うのはハズカシイのでやめましょう。


最終発表までの残りのひと月は作品の作り込みがメインになります。今回の発表で得たものを活かして、小林さんと先生方の脇腹になんとか一発入れてやりましょう。

(TA深井)