2009年5月27日水曜日

第6週 ペーパープロトタイプ


今週は最初に株式会社小松製作所の小出敏裕さんのお話を聞きました。
小出さんは本学科が「デザイン科学科」に改称する前の「工業デザイン科」第1期の卒業生であり、私たちの先輩にあたります。学生時代のお話や建設重機のデザインへの取り組み、多摩美術大学情報デザイン学科とのプロジェクト等について話して頂きました。



宿題だった中間発表をふまえてのアイデアスケッチを壁に貼り出し、先生を交えながらグループごとに検討しました。スケッチを追加していくグループや要素をポストイットに書き出していくグループなど、活発に議論が進んでいました。









授業の間の休み時間に他のグループのスケッチを互いに見てまわったあと、小出さんと先生方からスケッチに関しての講評がありました。
■スキルはまだまだ、グレーのマーカーぐらいは使うようにしよう
■「人に伝える、伝わるスケッチ」を描く、
■「シーンのスケッチ」と「デティールや画面のスケッチ」を区別する



続いて山崎先生からペーパープロトタイプ(紙でつくる試作品)に関する講義がありました。
■スケッチ:ビジュアルやアイデアの詳細を伝える、検討する
■ペーパープロトタイプ+アクティングアウト:シナリオや「人工物とのインタラクション」を身体感覚の中で検討できる

最後に練習として、それぞれが持っている携帯電話とそのメニュー画面をペーパープロトタイプで制作しました。


吉橋先生モデル。あまり時間をかけずに、ラフに作るのがポイントです。




ペーパープロトタイプの利点はコンセプト段階におけるトライ&エラーを短時間で反復できることです。たくさん作ってたくさん壊しましょう。

今週以降は実際にアイデアを視覚化し「プロトタイプ制作」と「評価」を行う段階に移行していきます。「対象ユーザーの理解」はプロジェクト全体を通して深めていきます。先週までで終わるわけではありません。必要に応じて調査・観察は常に行って下さい。

(TA深井)

2009年5月20日水曜日

第5週 中間発表

今週は中間発表としてこれまでの経過を各グループごとにプレゼンテーションしました。
先生方からの講評とともに、評価シートを通して80人の受講者全体から意見を集めることができます。

発表内容は以下(時間は3分)
・テーマ
ユーザー調査概要
インタビュー項目と結果
ユーザー調査のまとめ
ペルソナ
エクスペリエンスシナリオ
想定シナリオ
方向性のまとめ



現段階における各グループのテーマを記しておきます。


課題A 学生にうれしい新しいエンタテーメントの情報デザインの提案
A1 一人暮らしの学生が自宅でストレス発散して楽しくなる提案
A2 忙しい学生が室内で癒しの時間を楽しむ
A3 恋人のいない学生が居酒屋で合コンをして楽しむ
A4 学生が大学周辺で楽しくなれる情報デザイン
A5 買い物する学生
A6 小学校低学年がいきものと触れ合うためのデザイン
A7 小学生の通学を楽しくするもの
A8 学生が家で、いかに楽しく、落ち着けて癒されて過ごすか
A9 一人暮らしを楽しくするツール
A10 学生がどこでも音楽を楽しめるエンターテイメント


A9グループは一人暮らしを楽しくするツールということで自炊をする学生に焦点を当てていました。現場調査をしっかり行っており、資料も見やすくまとめられていました。他のグループも参考にするといいと思います。




課題B スポーツ施設でうれしい情報デザインの提案

B1 犬好きの人がスポーツ施設で一緒にトレーニングを楽しむ
B2 スポーツ施設でコミュニケーションを広げるデザイン
B3 ペットと共に汗を流すスポーツ施設
B4 トレーナーをつけない人がジムで正しいトレーニングを行うためのツール
B5 トレーニングジム初心者の若い女性が通いやすいトレーニングジムを作る


B1グループは人と犬が一緒に楽しむトレーニングということで犬のペルソナを作成していました。犬まで重要な対象ユーザーとして取り上げているところが評価されていたと思います。僕自身も犬のペルソナを見たのは初めてです。





山崎先生から具体的なアイデア展開へ向けての補足のあと、先生方から総評を頂きました。

グループごとに対する講評も含め、以下の2点についての話が中心でした。
■(設定しているペルソナは)本当に提案するものが欲しいか、楽しいか、お金を出してまでやりたいと思うか
■インタビューや観察から得た気付きや発見は何か、シナリオや方向性に生きているか

小林さんはご自身のブログに追加で総評を書いて下さっています。
   →千葉工大情報デザイン論1

先生方と受講者80人分の評価シートは新1号棟6階の山崎研究室にあるので確認するようにして下さい。吉橋先生は評価シートに総評を書いて下さっています



プレゼンについて、設定されていた3分の間に発表を終えたグループはほとんどありませんでした。「最初だからしょうがない」以前に、ほとんどのグループがリハーサルをしてこなかったのではないでしょうか?
山崎先生からも
最初ということで、プレゼンのポイントについていくつか説明がありました。録画したムービも確認して反省を活かすようにしてください。

補足しておきますが、「プレゼンの上手さへの評価」と「発表内容への評価」を混同しないように気を付けてください。
プレゼンがうまくいかないのは最初なので
当然かもしれません、上手いグループを参考に試行錯誤していきましょう。内容については先生方からのアドバイスや評価シートの意見を参考に、修正や追加の調査・観察を行うなどしてください。
内容が評価されたグループも、要検討を言い渡されたグループも、これからの
取り組み次第でどうにでもなります。今回の発表で得たものをしっかり活かしましょう

(TA深井)

2009年5月13日水曜日

第4週 インタビュー調査結果の発表


今週は最初にペルソナ手法の補足として山崎先生が出演されたワールドビジネスサテライトのビデオを見ました。Thinkpad、ジャガビー大和ハウスの事例を挙げながらペルソナの有効性をまとめてあり、特に、ペルソナの「ユーザー像を共有するためのツール」としての側面についての解説に重きがおかれていました。

ここでさらに補足ですが、企業やデザイナー(開発者側)の都合によって自在に変化してしまうユーザー像を「ゴムのユーザー」と呼びます。例えばこの授業の課題では学生を主な対象ユーザーとしていますが、皆さんの中の「学生像」は十人十色であるのが普通で、グループ全員が同じ学生を想像できることはまずありえないと思います。この状態のユーザー像が「ゴムのユーザー」です。そこでペルソナを作り、「ゴムのユーザー」を回避することで顧客に対して強い影響力を持つ製品・サービスを提案を目指すことができます。

ペルソナについては下記サイトも参考にしてください。
personadesign.net / Movie クイックツアー



次にゴールデンウィーク中の宿題だったユーザー調査の結果を各グループごとに発表しました。
準備不足のグループがほとんどでしたが、実際にスポーツクラブに行って観察やインタビューを実施し、分析をしているグループもありました。
さらに山崎先生から、定量調査と定性調査についての説明もありました。



最後に、ペルソナ作成の次のステップとして以下の内容についての講義がありました。

ペルソナ作成
  ↓
エクスペリエンスシナリオ作成
  ↓
代表的なシーンを抽出
  ↓
想定シナリオの作成
  ↓
方向性の検討

エクスペリエンスシナリオとは、ペルソナが製品やサービスと関わる際の行動や経験を時系列でグループ化したものです。そこから代表的なシーンを抜き出し、「こんなことができたらいい」「この問題を解決できる」といった内容をペルソナの視点から物語調で書き出す想定シナリオを作成していきます。



来週は中間成果としてこれまでの内容を発表し、講師陣からのアドバイスをいただきます。


(TA深井)